総務省の「令和8年版 情報通信白書」って、読んだことありますか?
通信やデジタルの状況を国がまとめた資料なんですが、日本の企業がどれくらいAIを使っているか、海外と比べてどうか、までわかります。
こんにちは、だらリーヌです! 製造業の会社で、AI活用の推進をやっています。
先日この白書を眺めていて、思わず二度見した数字があります。
日本企業で、何らかの業務に生成AIを使っている割合。
86.4%。
前の年は55.2%だったので、1年で一気に伸びています。米国90.9%、ドイツ91.6%、中国98.1%ですから、「使っている企業の割合」だけなら、日本もかなり追いついてきた。

出典: 総務省「令和8年版 情報通信白書」図表I-2-1-6(該当ページ)
ただ、ぼくが気になったのは、そこではありません。
「AIを使っているか、使っていないか」を見ても、もう意味がなくなってきている。
これから差になるのは、「AI使ってます」の中身。
同じ「AI使ってます」でも、全然違う
たとえばぼくの会社では、全員がMicrosoft Copilot Chatを使えます。
でも実際に使ってみると、入力できる量、ExcelやPowerPointのファイル処理、出力の品質。物足りなさを感じる場面がある。
その結果、こうなる人が出てきます。
「AIってこんなもんか」 「仕事ではあまり使えないな」
一方で、Claudeを実際に使った人たちは。
「これ、すげー」
さらにぼくはプライベートでFableを使っていますが、もう一段違う感覚があります。
単純に回答が賢いだけではなくて、
- 指示した周辺まで自分で考える
- 必要そうな作業を追加で進める
- 失敗したら自分で直す
- タスクを最後まで完成させようとする
という「気の利き方」がかなり違う。
Copilotを少し使う人も、Claudeを毎日使う人も、Fableでアプリをゴリゴリ作る人も、統計の上では全部「生成AI利用者」です。
でも実態は、まるで違います。
白書にも、兆候が出ていました
同じ白書に、こんな数字があります。
生成AIによる業務変革について「組織的な取組はない」と答えた日本企業。
27.0%。
米国は1.4%、ドイツ4.9%、中国2.6%。

出典: 総務省「令和8年版 情報通信白書」図表I-2-1-3(該当ページ)
……桁がひとつ違う。
AIは使っている。でも、会社として仕事のやり方を変えるところまでは行っていない。そういう企業が、日本にはまだかなりあるわけです。
教育とデータでも差が出ています。
「業務プロセスの見直しや、生成AI活用に必要なスキル・ノウハウを学べる環境がある」企業は、日本39.9%。米国62.7%、ドイツ60.4%、中国71.7%。
「生成AIに社内データを学習させたり、AIが参照できるデータベースを構築している」企業は、日本24.5%。米国57.2%、ドイツ54.4%、中国73.0%。

出典: 総務省「令和8年版 情報通信白書」図表I-2-1-5(該当ページ)
この最後の数字で、思い出したことがあります。ぼくがClaudeのカスタムコネクタ機能(外部のデータやツールをAIにつなぐ仕組み)を使おうとして、会社のデータにつなげられなかったときのことです。
AIそのものがどれだけ賢くなっても、会社のデータとつながっていなければ、能力を全部は使えないんですよね。
これから広がるのは「AI活用格差」
これまでの格差は、「AIを使う人」と「使わない人」の間にありました。
これからは違うと思っています。
- どのAIを使っているか
- どれくらい頻繁に使っているか
- どこまで仕事を任せているか
- 社内データとつながっているか
- 会社として教育や仕組みを用意しているか
こういう違いが、じわじわ積み重なっていく。
だから「利用率86.4%」だけを見ると日本も進んだように見えるけれど、中身のばらつきはかなり大きい。
企業どうしでも差が出る。同じ会社でも、部署によって差が出る。同じ部署でも、個人によって差が出る。
比べてみると、見えてくること
スマホと同じだと思うんです。
ほとんどの人が持っている。でも、電話とLINEだけの人と、仕事の道具として使い倒している人がいる。
「持っているか」では、もう誰も差を語りません。
AIの「利用率」も、これと同じ入口の数字です。入口の数字は、いつか天井に届く。そこから先は、中身でしか差がつきません。
白書を読み直して、気づいたことがあります。
日本は入口では追いついたのに、中身の数字(組織的な取組・教育・データ)では、まだ大きく離されている。
この差は、個人の腕の差だけではありません。会社が中身に手をつけているかどうかの差が、大きい。
今日の一歩
AIを、まず自分で触る。
良かったものを、会社でも試す。
周りの人にも、体験してもらう。
「このAIを使うと、仕事そのものをどう変えられるのか?」までなんとなーくでいいので考える。
「使うかどうか」の時代は、もう終わりつつあります。次のテーマは「どう使うか」。
あなたの会社の「AI使ってます」は、いまどの段階ですか? よかったら聞かせてください!
参考: 総務省「令和8年版 情報通信白書」(2026年7月24日公表)。HTML版で全文が読めます。