入れた情報がどこにあるかで、3つに分かれる。学習に使われるかと、何日残るかは、別の話。ここまでが前の章でした。
では、それはどこで確かめるか。第3章で言った契約に書かれた条件、つまり規約です。
会社でそのAIを使っていいか。決めるのは、規約とその関連文書です。
学習に使われるか、何日残るかは、規約に書いてあります。保存場所や監査ログは、法人向けの説明や契約書のほうです。
そして規約の上には、もう1段あります。そのサービスを作っている会社が、どの国にあるか。その国の法律です。
ちょっと小難しいですが、なるべくかんたんに。
確かめる文書は、複数ある
利用規約。プライバシーポリシー。法人向けのデータ処理・セキュリティの説明。
欲しい情報は1ページにまとめて記載されていません。このあたりの複数の文書に散っています。

何が、どこにあるか。
- 商用利用できますか(生成した文章や画像を、会社の仕事や製品に使ってよいか) … 利用規約
- 学習に使われるか … データ利用の項
- 何日、何のために残すか … データ保持の項
- 保存場所(国とリージョン) … 法人向けのデータ処理の説明
- 再委託先(さらに委託している会社) … サブプロセッサの一覧ページ
- 暗号化(通信と保存の両方) … セキュリティの説明ページ
- 管理者の監査ログ(誰が何を入れたかを会社側で追えるか) … 管理者向けの説明
- 契約形態(法人契約か、個人アカウントか) … 申込の画面と契約書
規約の上には、その国の法律がある
法律までは、基本は見なくていい。規約を確かめれば足ります。
いまのところ、中国のサービスは要注意です。データを国内に置かせる法律と、国が求めたら協力させる法律があるからです。

例が DeepSeek です。
2025年2月、個人情報保護委員会が「DeepSeekに関する情報提供」を出し、政府からのメッセージとして話題になりました。
前の職場でも、使いたいという声が上がって、緊急に調べました。
利用規約を見たら、日本語、中国語、英語で書いてあることが違う。中国語が一番厳しい。あやしい。
決め手は、契約というより、その上の中国のデータ保存の法律です。会社としてリスクが高すぎる。
最終判断は事業部門の責任者で、会社からブロック、でした。
同意した画面を撮って、法務に預ける
利用規約は、サービスの側が用意して、こちらは同意するだけ、という形の条項。民法でいう定型約款です。
定型約款に同意すると、個別の条項にも合意したとみなされます。
用意した側は、条件を満たせば、こちらの合意なしに規約を変えられます。
だから、同意したら、その画面を撮って、法務に預ける。
撮るのは2つ。同意ボタンの画面と、そのとき出ている規約の版(日付やバージョンが見えるところ)。
預ける先は、契約書と同じ場所。AI専用の保管場所は作りません。有償も無償も撮ります。

ぼくは、利用規約の同意は必ずスクショを撮って、法務に保管してもらっています。デジタル保管です。
そのまま使えるもの
社名と設定は、2026年9月時点の一般例です。使う前に、現物で確かめてください。
8項目の確認表
サービス名 ____/確認日 ____/規約の版(日付・バージョン) ____
| 項目 | 見る場所 | 書いてあったこと |
|---|---|---|
| 商用利用できますか(生成した文章や画像を、会社の仕事や製品に使ってよいか) | 利用規約 | ____ |
| 学習に使われるか | データ利用の項 | ____ |
| 何日、何のために残すか | データ保持の項 | ____ |
| 保存場所(国とリージョン) | 法人向けのデータ処理の説明 | ____ |
| 再委託先(さらに委託している会社) | サブプロセッサの一覧ページ | ____ |
| 暗号化(通信と保存の両方) | セキュリティの説明ページ | ____ |
| 管理者の監査ログ(誰が何を入れたか会社側で追えるか) | 管理者向けの説明 | ____ |
| 契約形態(法人契約か、個人アカウントか) | 申込の画面と契約書 | ____ |
国の指針(2つ)
- 個人情報保護委員会「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等」 https://www.ppc.go.jp/news/careful_information/230602_AI_utilize_alert/
- 総務省・経済産業省「AI事業者ガイドライン」 https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/kenkyu/ai_network/02ryutsu20_04000019.html
1行ルール
「AIサービスの利用規約に同意したら、同意した画面を撮って、法務に預ける」
- 撮るもの … 同意ボタンの画面と、そのとき出ている規約の版(日付やバージョンが見えるところ)
- 預ける先 … 契約書と同じ場所(AI専用の保管場所は作らない)
- 対象 … 有償も無償も
規約を読むときの3行
- 更新日を、言語ごとに並べて見る
- 準拠法の欄(どの国の法律か)と、裁判所の欄(争いをどこで扱うか)を見る
- 保管地の欄を見る
出どころ
- 個人情報保護委員会「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等」 https://www.ppc.go.jp/news/careful_information/230602_AI_utilize_alert/
- 総務省・経済産業省「AI事業者ガイドライン」 https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/kenkyu/ai_network/02ryutsu20_04000019.html
- 個人情報保護委員会「DeepSeekに関する情報提供」 https://www.ppc.go.jp/news/careful_information/250203_alert_deepseek/
- 総務省『情報通信政策研究』 https://www.soumu.go.jp/main_content/000783869.pdf
- JETRO大連事務所の資料 https://www.jetro.go.jp/ext_images/world/asia/cn/tohoku/pdf/labor_018.pdf
- DeepSeek 利用規約 日本語版 https://cdn.deepseek.com/policies/ja-JP/deepseek-terms-of-use.html (ja-JP を ko-KR、zh-CN に替えると韓国語版と中国語版)
- Microsoft サービス規約 https://www.microsoft.com/ja-jp/servicesagreement/
- 民法 https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089